
ある部屋に23人が集まっているとします。
その中に、同じ誕生日の人が少なくとも2人いる確率は、どのくらいだと思いますか?
1年には365日あります。
そのため、
「23人しかいないなら、同じ誕生日の人がいる可能性は低いのでは?」
と感じる人が多いでしょう。
10%くらいでしょうか。
それとも20%くらいでしょうか。
実は、一般的な条件で計算すると、その確率は約50.7%になります。
つまり、23人が集まると、同じ誕生日の人が少なくとも1組いる可能性は、いない可能性より少し高くなるのです。
この直感に反する確率の問題は、
「誕生日のパラドックス」
と呼ばれています。
ただし、本当の意味で矛盾しているわけではありません。
結果が私たちの予想と大きく異なるため、「パラドックス」と呼ばれているのです。
何を求める問題なのか?
この問題では、
「自分と同じ誕生日の人がいる確率」
を求めているのではありません。
23人の中で、
誰でもよいので、同じ誕生日の2人がいる確率
を求めています。

この違いが非常に重要です。
自分の誕生日と一致する相手だけを探す場合、比較する相手は22人です。
しかし、23人の中のすべての組み合わせを比較すると、比較できるペアはずっと多くなります。
1人目と2人目。
1人目と3人目。
1人目と4人目。
2人目と3人目。
2人目と4人目。
このように、23人全員の間で誕生日を比較します。
23人から作れるペアは253組
23人の中から2人を選ぶ組み合わせの数は、
23×22÷2=253

です。
23人しかいないのに、誕生日を比較できるペアは253組もあります。
私たちは「23人」という人数だけを見て、
365日に比べれば少ないと考えてしまいます。
しかし、実際には1人ずつではなく、多数のペアが同時に比較されています。
この253組のどこか一つでも誕生日が一致すれば、
「同じ誕生日の人がいる」
という結果になります。
これが、人数が少なく見えても一致する確率が急速に高くなる理由です。
直接計算するのは難しい
では、
「少なくとも1組の誕生日が一致する確率」
を直接計算してみましょう。
しかし、この方法は簡単ではありません。
ちょうど1組だけ一致する場合。
2組がそれぞれ一致する場合。
3人が同じ誕生日の場合。
複数の一致が同時に起こる場合。
さまざまなケースを重複しないように数える必要があります。
そこで数学では、反対の出来事を先に考えます。
つまり、
全員の誕生日が異なる確率
を計算するのです。
その確率を1から引けば、
少なくとも1組が一致する確率を求められます。
全員の誕生日が異なる確率
計算を簡単にするため、次の条件を仮定します。
- 1年は365日
- 2月29日は考えない
- どの日に生まれる確率も同じ
- 人々の誕生日は互いに独立している
1人目の誕生日は、何日でも問題ありません。
したがって、1人目が他の人と重ならない確率は、
365/365
です。
2人目は、1人目と異なる日に生まれていなければなりません。
その確率は、
364/365
です。
3人目は、最初の2人と異なる日でなければなりません。
使われていない日は363日なので、
363/365
です。
4人目は、
362/365
です。
同じように続けると、23人全員の誕生日が異なる確率は、
365/365 × 364/365 × 363/365 × … × 343/365

となります。
この値を計算すると、約49.27%です。
1から引くと約50.73%
23人全員の誕生日が異なる確率は、約49.27%でした。
したがって、少なくとも2人の誕生日が一致する確率は、
100%−49.27%=約50.73%

です。
これが、
「23人で同じ誕生日の人がいる確率は50%を超える」
という結果の理由です。
数学的には、
1−全員の誕生日が異なる確率
を計算しています。
一見複雑な問題でも、反対側の出来事を考えると簡単になることがあります。
これは確率問題でよく使われる「余事象」という考え方です。
22人では50%を超えない
では、22人の場合はどうでしょうか。
22人の中に同じ誕生日の人がいる確率は、約47.6%です。
まだ50%には届きません。
23人になると約50.7%になり、初めて50%を超えます。
わずか1人増えただけですが、その新しい1人は、それまでにいた22人全員と比較されます。
つまり、23人目が加わると、新しく22組のペアが増えるのです。
人数が1人増えるごとに、比較の数も1つだけ増えるわけではありません。
すでにいる全員との新しい比較が追加されます。
人数が増えると確率は急速に高くなる

同じ誕生日の人がいる確率は、人数とともに次のように増えていきます。
10人では、約11.7%。
20人では、約41.1%。
23人では、約50.7%。
30人では、約70.6%。
40人では、約89.1%。
50人では、約97%。
人数が50人になると、同じ誕生日の人がいる確率はほぼ97%に達します。
365人近く集まらなければ高い確率にならないと思うかもしれません。
しかし、実際には比較されるペアの数が急速に増えるため、50人程度でも一致がかなり起こりやすくなります。
「自分と同じ誕生日」とは別の問題
ここで、よく混同される二つの質問を比べてみましょう。
質問1
23人の中で、誰か2人の誕生日が同じ確率は?
答えは約50.7%です。
質問2
自分以外に22人いるとき、自分と同じ誕生日の人がいる確率は?
こちらは約5.9%です。
なぜ、これほど差があるのでしょうか。
質問2では、自分の誕生日と22人の誕生日だけを比較します。
一方、質問1では、23人全員のあらゆるペアを比較します。
比較できる組み合わせが253組あるため、誰かが一致する確率が高くなるのです。
100%になるのは何人?
同じ誕生日の人がいる確率が100%になるためには、何人必要でしょうか。
通常の365日だけを考えるなら、答えは366人です。
365日しかない場所に366人の誕生日を割り当てると、少なくとも2人は必ず同じ日になります。
これは「鳩の巣原理」と呼ばれる考え方です。
365個の箱に366個の物を入れれば、どこか一つの箱には必ず2個以上入ります。
ただし、誕生日のパラドックスが驚くべきなのは、100%になる人数ではありません。
わずか23人で、すでに50%を超えるところにあります。
実際の誕生日は均等ではない
現実には、すべての日の出生数が完全に同じではありません。
季節、曜日、祝日、計画出産などの影響によって、出生数には偏りがあります。
しかし、誕生日が均等でない場合でも、一般的には一致する確率が大きく下がるわけではありません。
特定の日に誕生日が集中すれば、むしろ一致が起こりやすくなる場合があります。
ただし、学校のクラスや職場の集団では、年齢や出生時期に偏りがある可能性もあります。
そのため、現実の集団で測定した結果は、単純な365日モデルと完全には一致しないことがあります。
コンピューターの世界でも重要
誕生日のパラドックスは、単なる誕生日の遊びではありません。
コンピューターや情報セキュリティの分野でも重要な考え方です。
コンピューターでは、データから一定の長さの値を作る「ハッシュ関数」が使われます。
異なるデータから同じハッシュ値が作られることを「衝突」と呼びます。
利用できるハッシュ値の数が非常に多くても、生成するデータの数が増えると、予想より早く衝突が起こる可能性があります。
この性質を利用した攻撃は、
バースデー攻撃
と呼ばれています。
誕生日の問題で「同じ日」が見つかるのと同じように、コンピューターでは「同じハッシュ値」が見つかる可能性を考えるのです。
身近な場所で試してみよう
学校のクラス、会社の部署、趣味の集まりなどで、誕生日を調べてみてください。
23人以上いるなら、同じ誕生日の人が見つかる可能性は半分を超えます。
ただし、1回調べて一致しなかったからといって、計算が間違っているわけではありません。
約50.7%ということは、必ず一致するという意味ではありません。
同じ人数の集団を何度も作って調べると、長期的には約半分の集団で一致が見つかるという意味です。
確率は、一度だけの結果を予言するものではありません。
同じ条件を何度も繰り返したときに現れる傾向を表しています。
まとめ
誕生日のパラドックスでは、23人の中に同じ誕生日の人が少なくとも1組いる確率は約50.7%です。
人数が365日に比べて少ないのに確率が高くなるのは、23人から253組ものペアを作れるからです。
計算するときは、同じ誕生日がある場合を直接数えるのではなく、
1−全員の誕生日が異なる確率
を使います。
また、
「誰か2人の誕生日が同じ」
という問題と、
「自分と同じ誕生日の人がいる」
という問題は異なります。
直感では人数だけに注目してしまいますが、確率では比較の回数や組み合わせの数も重要です。

あなたの身近な集まりには、同じ誕生日の人がいますか?
23人以上いる場所で、実際に調べてみてください。
次回は、自然界や芸術、デザインの中にも現れる不思議な数字の並び、
「フィボナッチ数列」
を分かりやすく紹介します。
次の記事:フィボナッチ数列とは?自然界にも現れる不思議な数字の並び
