スマートフォンの電卓を開いてみてください。
例えば、
10 ÷ 2 = 5
これは簡単ですね。
では、
10 ÷ 1 = 10
これも問題ありません。
それでは……
10 ÷ 0 = ?
どうなると思いますか?
「ものすごく大きな数字?」
「無限大?」
それとも……
0?
実際に多くの電卓では、0で割ろうとするとエラーになったり、計算できないことを示す表示が出たりします。
でも、なぜでしょう?
0を足すことはできます。
0を引くこともできます。
0を掛けることもできます。
なのに、
なぜ「0で割る」だけはダメなのでしょうか?

実はこれ、
単なる電卓の故障でもルールでもありません。
割り算そのものの意味
を考えると、その理由が見えてきます。
今日は難しい数式をできるだけ使わず、
「0で割れない理由」を一緒に解いてみましょう。
そもそも「割り算」とは何?
まずは簡単な問題です。
12 ÷ 3 = 4
なぜ答えは4なのでしょう?
12個のお菓子を3人に同じ数ずつ分ければ、
1人4個になります。
だから、
12 ÷ 3 = 4。
これはとてもわかりやすいですね。
でも割り算には、
もう一つ重要な見方があります。
12 ÷ 3 = 4
という式は、
逆から見ると、
3 × 4 = 12
という意味でもあります。
つまり、
割り算は掛け算を逆向きに考える計算
とも言えるのです。
この考え方を覚えておいてください。
ここから一気に面白くなります。
では「10 ÷ 0」を逆から考えてみよう
仮に、
10 ÷ 0 = A
という答えがあるとしましょう。
先ほどと同じように掛け算へ戻すと、
0 × A = 10
にならなければいけません。
では、
Aに何を入れればよいでしょう?
1?
0 × 1 = 0
100?
0 × 100 = 0
1億?
0 × 100,000,000 = 0
どんな普通の数を入れても、
答えは0です。
10にはなりません。

つまり、
0 × A = 10
を満たす通常の数Aは存在しません。
だから、
10 ÷ 0
には通常の実数や複素数の範囲で答えを割り当てることができないのです。
「じゃあ答えは無限大」でいいのでは?
ここで多くの人が思います。
「0で割ったら∞(無限大)でいいんじゃない?」
確かに、そう考えたくなる理由があります。
例えば、
10をどんどん小さな正の数で割ってみましょう。
10 ÷ 1 = 10
10 ÷ 0.1 = 100
10 ÷ 0.01 = 1,000
10 ÷ 0.001 = 10,000
割る数が正の側から0に近づくほど、
答えはどんどん大きくなります。
「ほら!」
「やっぱり0で割ったら無限大じゃない?」
……と思いますよね。
ところが、
ここに大きな落とし穴があります。
0の反対側から近づいたら?
今度は、
マイナス側から0へ近づいてみます。
10 ÷ -1 = -10
10 ÷ -0.1 = -100
10 ÷ -0.01 = -1,000
10 ÷ -0.001 = -10,000
今度はどうでしょう?
答えは、
どんどんマイナス方向へ大きくなります。
つまり、
正の側から0へ近づくと、
+∞の方向
へ。
負の側から0へ近づくと、
-∞の方向
へ進みます。

0の左右で、
様子がまったく違うのです。
ここで重要なのは、
「0に近づけること」と「0そのもので割ること」は同じではない
ということです。
数学では、この違いがとても大切です。
0 ÷ 0なら答えは0?
では、さらに不思議な問題です。
0 ÷ 0 = ?
「0を何かで割ると0だから、答えは0でしょう?」
と思うかもしれません。
しかし、
これもそう簡単ではありません。
仮に、
0 ÷ 0 = A
とすると、
掛け算に戻したとき、
0 × A = 0
となります。
A = 1でも、
0 × 1 = 0。
A = 5でも、
0 × 5 = 0。
A = 100でも、
0 × 100 = 0。
つまり今度は、
候補が多すぎる
のです。
10 ÷ 0では答えになる通常の数がありませんでした。
ところが0 ÷ 0では、
逆算だけを見ると一つに決められません。
そのため数学では、
0 ÷ 0は「不定形」と関係する特別な形
として扱われます。
特に極限の計算では、式全体の形によって結果が異なるため、単純に0や1などと決めることはできません。
もし「0で割ってOK」にしたらどうなる?
ここからが今日一番面白いところです。
数学では、
同じ数同士なら普通、
5 ÷ 5 = 1
ですよね。
でも、
0について無理やり同じルールを使って、
0 ÷ 0 = 1
と決めたとします。
一方で、
0 × 2 = 0
なので、
もし0で自由に割れるなら、
両辺を0で割って、
2 = 1
のような矛盾を作れてしまいます。
さらに同じような操作を繰り返せば、
数学の基本ルールが崩れてしまいます。
だから、
0で割らない
というのは、
誰かが気分で決めた禁止事項ではありません。
数の計算を矛盾なく扱うために必要なのです。
「0」は何もない数字なのに、実はものすごく重要
0は不思議な数字です。
足し算では、
8 + 0 = 8
数を変えません。
掛け算では、
8 × 0 = 0
どんな数も0にします。
ところが割り算では、
分母に0が来た瞬間、
今までのルールをそのまま使えなくなります。
たった一つの数字なのに、
計算の中で役割が大きく変わるのです。
だから0は、
数学の歴史でも非常に重要な存在です。
グラフにするともっと不思議
例えば、
y = 1 ÷ x
という式を考えてみます。
xが1なら、
y = 1。
xが0.5なら、
y = 2。
xが0.1なら、
y = 10。
xが0へ近づくほど、
グラフは大きく伸びていきます。
しかし、
x = 0の場所には値がありません。
グラフを見ると、
0のところだけを避けるように、
左右の線が伸びていきます。

まるで、
「ここには入れません」
という見えない壁があるようです。
数式だけだと難しく見える話も、
グラフにすると0の特殊さがよく見えてきます。
電卓が壊れているわけではない
では最初の疑問に戻りましょう。
なぜ電卓で、
10 ÷ 0
を入力するとエラーになるのでしょう?
答えは簡単です。
電卓が計算をサボっているからではありません。
普通の算術では、
答えとして返せる数が定義されていないから
です。
つまり、
電卓の「エラー」は、
ある意味とても正しい答えなのです。
【10秒チャレンジ】
ここで問題です。
次のうち、
通常の算術で計算できないものはどれでしょう?
① 0 ÷ 5
② 5 ÷ 0
③ 5 × 0
10秒考えてみてください。
答えは……
② 5 ÷ 0
です。
①は、
0 ÷ 5 = 0
③も、
5 × 0 = 0
です。
しかし②をAとすると、
0 × A = 5
にならなければなりません。
そんな通常の数Aは存在しません。
もう1問!あなたは解ける?
では少し難しくします。
1 ÷ 0.1 = 10
1 ÷ 0.01 = 100
1 ÷ 0.001 = 1,000
では、
1 ÷ 0 = ?
A. 10,000
B. ∞
C. 0
D. 通常の数としては定義できない
答えは……
Dです。
途中の数字がどれだけ大きくなっても、
「0に近づく」ことと、
「0になる」ことは同じではありません。
ここが今日最大のポイントです。
30秒で復習
今日覚えてほしいことは4つです。
① 割り算は掛け算の逆として考えられる。
② 10 ÷ 0 = Aなら0 × A = 10になる必要があるが、そのような通常の数は存在しない。
③ 0に近い数で割った結果が大きくなることと、0で割ることは別問題。
④ 0 ÷ 0も単純に0や1と決めることはできない。
普段、
電卓に突然表示される「エラー」。
でもその裏には、
単なる機械の都合ではなく、
数学の世界を矛盾から守る大切な理由
が隠れていたのです。
次回予告
23人集まると「同じ誕生日」の人がいる確率は50%を超える?
想像してください。
教室に23人います。
365日もあるのだから、
同じ誕生日の人なんて、
なかなかいないように思いますよね。
ところが……
23人いるだけで、同じ誕生日の2人がいる確率は50%を超えます。
「えっ、23人だけ?」
なぜそんな結果になるのでしょう?
26편에서는、
確率 × 誕生日 × 人間の直感
の不思議に挑戦します。
